なんらかの症状があって医療機関を受診して診断されるのは約半数で、接触者検診で発見される患児は無症状であり小児結核の約40%を占めます。症状があっても不定で、微熱、不きげん、食欲不振、体重増加不良、体重減少などです。胸膜炎を起こすと発熱、胸痛、呼吸困難を呈します。粟粒結核や結核性髄膜炎でも特別な症状はなく、発熱、食欲不振などの症状が中心です。
診断
家族感染が多いので、家族や接触者に微熱やせきが続いている人がいないかどうかなどをよく調べます。ツベルクリン反応は陽性を示しますが、ツ反が陰性の場合は必ずしも未感染を意味しません。
感染からツ反が陽転するまでは3〜8週間かかり、髄膜炎や胸膜炎の発病初期では陰性になることがあるからです。喀たん、胃液、胸水などを顕微鏡でみて結核菌が認められるのは3割程度です。培養検査は陽性率が4割程度で、結果が出るのが4〜8週間とおそいことが欠点です。
培養のかわりに菌の遺伝子の存在を調べる方法(PCR法)が確立され、検査結果もより早くわかるようになりました。小児結核の9割は胸部の結核なので、胸部X線は大切な検査です。
治療
結核患者と濃厚な接触があった場合は、BCG接種の有無やツ反判定の結果とは関係なく、INHという抗結核薬の予防内服以上の治療をおこないます。接触がない場合でも、ツ反が強陽性で結核感染が考えられれば、予防内服で処置します。
あきらかな感染があれば抗結核薬の2〜4剤を6〜12カ月内服します。喀たんや胃液に顕微鏡で結核菌がみられた患児は隔離されなければいけません。
治療後は、数カ月の経過で改善傾向を示すのがほとんどです。しかし、治療開始が遅れるほど主要病巣である肺や気管支に後遺症を残す可能性が高くなります。特に結核性髄膜炎には注意が必要で、治療を適切におこなっても高率に発達遅滞、脳性まひなどの神経学的後遺症を残します。特に2歳以下では死亡率も高いです。