身長が非常に低い場合を小人症[しょうじんしょう]と呼びます。身長が低い場合に、精密検査をするかどうかの目安として、以下のようなものがあります。 身長が標準のマイナス2SD以下あるいは3パーセンタイル以下、年齢別標準値と比べて、幼児で10cm、学童で15cm以上低い場合、あるいは1年間の身長の伸びが3cm以下で、年々標準との差が開いてくるような場合などは検査したほうがよいでしょう。 身長が低くなる原因はいろいろで、ホルモンの病気、骨の病気、染色体異常、体質、栄養の不足や虐待などがあります。 乳児期から背の伸びがわるい場合には、甲状腺機能低下症A染色体異常や先天性心疾患などの病気があります。精神運動発達の遅れや顔つきの異常があるかどうかも重要です。脳下垂体から分泌される成長ホルモンの不足による下垂体性小人症の場合は、3歳ごろから徐々に正常との差が開いてくるのが一般的です。
体質性のもの、原発性小人症あるいは家族性小人症、成長がゆっくりで思春期がくるがおそくなりあとから伸びてくる思春期遅発症などもあります。先天性の骨の病気である軟骨異栄養症では、からだに比べて手足が短くなります。
治療
治療法は原因によって異なります。ホルモンの異常が疑われるときは、血液中のホルモンを測定したり、ホルモンを分泌させる薬を注射して、ホルモンが分泌されるかどうか調べる負荷試験で診断します。 手の骨のレントゲン写真を撮り、骨の年齢が実際の年齢よりも遅れている場合は、ホルモンの不足や思春期遅発症の可能性がありますが、年齢相当の場合は原発性小人症が考えられます。しかし残念ながらこれといった治療法はありません。思春期遅発症は、時期がくれば伸びるので、そのまま放置していてもよいでしょう。 甲状腺機能低下症の場合は、甲状腺ホルモン末を内服します。下垂体性小人症の場合には、遺伝子組み替え技術でつくられたヒト成長ホルモンの注射による治療をします。
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